【基本情報技術者試験】(令和8年度・科目A・公開問題)無線LANの電波の衝突を避ける仕組みとは?

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令和8年度 基本情報技術者試験 科目 A 公開問題

問8 無線LANでは、複数の端末から送信された同じ周波数の電波が衝突した場合、電波が干渉するのでそれらを受信すると信号を復調できないことがある。この問題を回避するためのものはどれか。

ア CSMA/CA
イ SSID
ウ キャリアアグリゲーション
エ テザリング

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験 令和8年度 科目A 問8」

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正解は ア CSMA/CA です。

問題文のキーワードは「同じ周波数」「衝突」「回避」の3つである。「衝突を回避する」という言葉が、そのままCSMA/CAの名前(Collision Avoidance=衝突回避)に対応している。

問題の背景:なぜ電波は衝突するのか

無線LANでは、同じアクセスポイントにつながる端末がみな同じ周波数帯を共有している。

会議室で全員が同時に話し出すと、誰の声もしっかりと聞き取れなくなるだろう。
無線LANも同じで、2台の端末が同時に送信すると電波が干渉し、受信側は信号を正しく復調できなくなる。これを「衝突」という。

CSMA/CAとは

CSMA/CAは Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance の略で、「搬送波感知多重アクセス/衝突回避」と訳される。名前を分解すると理解しやすい。

  • Carrier Sense(搬送波感知):送信前に、他の端末が電波を出していないかを確認する
  • Multiple Access(多重アクセス):複数の端末が同じ回線を共有する
  • Collision Avoidance(衝突回避):衝突が起きないように工夫する

基本的な流れ

  1. 送信前に、電波が使われていないか確認する(キャリアセンス)
  2. 誰かが使っていれば待つ
  3. 空いていても、すぐには送らず、ランダムな時間だけ待ってから送信する(バックオフ)
  4. 受信側は、正しく受け取れたら確認応答(ACK)を返す
  5. 送信側がACKを受け取れなければ、衝突などで失敗したとみなして再送する

会議にたとえると、「誰かが話していたら待つ」「話が終わっても全員が一斉に話し出さないよう、少しずつタイミングをずらす」というルールである。ランダムに待つのは、複数の端末が同時に送信を始めてしまうのを避けるためである。

RTS/CTSという補助機能

無線LANには「隠れ端末問題」がある。端末AとCがそれぞれアクセスポイントとは通信できても、AとCの間は距離や障害物のせいで互いの電波を検知できない、という状況である。この場合、キャリアセンスだけでは衝突を防ぎきれない。

そこで、送信前にRTS(送信要求)を送り、アクセスポイントからCTS(送信許可)を返してもらう方式が使われることがある。CTSは周囲の端末にも届くため、他の端末は「今は誰かが送信するのだな」と知って待機できる。

CSMA/CDとの違い

似た名前にCSMA/CDがある。ここでよく混同するので、違いを整理しておく。

項目CSMA/CACSMA/CD
正式名称Collision AvoidanceCollision Detection
意味衝突を回避する衝突を検出する
主な用途無線LAN有線LAN(従来のイーサネット)
考え方送信前に衝突を避ける工夫をする送信しながら衝突を検出し、検出したら再送する

無線では、自分が送信している最中に他の電波を同時に検出するのが難しい。そのため無線LANでは「起きてから検出する」のではなく「起きないように避ける」CSMA/CAが採用されている。

なお、CSMA/CAは衝突の確率を大きく下げる仕組みであって、衝突を完全にゼロにするものではない。だからこそACKによる再送の仕組みも備えている。

他の選択肢の解説

イ SSID(誤り)

SSIDは Service Set Identifier の略で、無線LANのネットワークを識別するための名前(識別子)である。スマートフォンやパソコンで接続先を選ぶときに表示される、あのネットワーク名がSSIDである。電波の衝突回避とは関係がない。

ウ キャリアアグリゲーション(誤り)

キャリアアグリゲーションは、携帯電話(LTE-Advancedなど)で、複数の周波数帯を束ねて同時に使い、通信を高速化する技術である。無線LANの衝突を避けるものではなく、通信速度を上げるための技術である。

エ テザリング(誤り)

テザリングは、スマートフォンなどを経由して、パソコンなど他の機器をインターネットに接続させる機能である。スマートフォンがアクセスポイントの代わりになるイメージである。これも衝突回避の仕組みではない。

解法のポイント

  • 無線LANでは、複数の端末が同じ周波数を共有するため、電波の衝突が起こりうる
  • 衝突を回避する仕組みが CSMA/CA である
  • 送信前に空きを確認し、ランダムに待ってから送信し、ACKで成功を確認する
  • 有線LANのCSMA/CDは「衝突を検出」、無線LANのCSMA/CAは「衝突を回避」と覚える
  • SSIDは「ネットワークの名前」、キャリアアグリゲーションは「周波数の束ね技術」、テザリングは「回線の共有機能」であり、どれも衝突回避とは別物である

覚え方:「CA」は Collision Avoidance の「A」、つまり回避(Avoidance)。無線=避ける、有線のCDは検出(Detection)。

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