基本情報技術者試験の令和7年度の公開問題(科目A)を解こう。
今回のテーマは、「E-R モデルにおけるエンティティの特徴」である。
問11
E-R モデルにおけるエンティティの特徴はどれか。
ア エンティティとインスタンスとは、1 対 1 の対応関係をとる。
イ エンティティとなり得るものは、物的に実現するものである。
ウ エンティティは、特性を表すための属性(アトリビュート)をもつ。
エ 異なった種類のエンティティ間の関係は、,主として状態遷移として表現される。
正解:ウ
E-Rモデル(実体-関連モデル)は、データベース設計においてデータ構造を視覚化するための非常に重要な手法である。それぞれの選択肢を検証しながら、エンティティの性質について整理しよう。
ア 誤り。
「エンティティ(実体)」は「社員」や「商品」といったデータの集合(型)を指す。それに対し、「インスタンス」はその集合の中に含まれる具体的な1つひとつのデータ(例:社員Aさん、社員Bさん)を指す。 したがって、1つのエンティティに対して複数のインスタンスが存在するため、1対多の関係になる。
イ 誤り。
エンティティは、「社員」や「車」のような形のあるもの(物理的実体)だけでなく、「注文」「契約」「プロジェクト」といった形のない概念やイベント(概念的実体)も含む。管理する必要がある対象であれば、何でもエンティティになりうる。
ウ 正しい。
エンティティは、その特徴を表すための項目を持っている。これを属性(アトリビュート)と呼ぶ。
例:「社員」というエンティティなら、「社員番号」「氏名」「生年月日」などが属性にあたる。
エ 誤り。
エンティティ間の関係(リレーションシップ)は、「誰がどの商品を購入したか」といった「関連性」を表現するものであり、時間の経過による「状態の変化(状態遷移)」を表現するものではない。状態遷移を記述するのは、主に「状態遷移図」などの役割である。
E-Rモデルの構成要素まとめ
E-Rモデルを理解する際は、以下の3つの要素をセットで覚えるのがコツである。
| 要素 | 内容 | 例 |
| エンティティ | データの対象(実体) | 社員、商品、注文 |
| アトリビュート | エンティティが持つ項目(属性) | 氏名、価格、注文日 |
| リレーションシップ | エンティティ同士のつながり(関連) | 社員が商品を「販売する」 |


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