今回は、基本情報技術者試験(FE)の令和8年度・科目A・公開問題から、論理回路とタイミングチャートに関する問題を取り上げる。
図の回路にA及びBの信号を入力したとき、Yに出力される信号のタイミングチャートとして適切なものを選ぶ問題である。
令和8年度 基本情報技術者試験 科目 A 公開問題

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正解は イ です。
この問題は、回路を一つずつ論理式に置き換えて考えるとわかりやすい。
1.まずNANDゲートを確認する
図のゲートには、ANDゲートの出力部分に小さな○が付いている。
この記号は「否定」を表しているため、このゲートは NANDゲート である。
NANDゲートは、ANDの結果を否定したものであり、論理式では次のように表す。
$Y=\overline{A\cdot B}$
NANDゲートでは、2つの入力がともに1の場合だけ出力が0になる。
| A | B | NAND出力 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
ここで、今回の問題では最初と最後のNANDゲートの2つの入力が、同じ信号に接続されている点が重要である。
2.左上のNANDゲートはNOTゲートとして働く
左上のNANDゲートには、Aが2つの入力として入っている。
したがって、出力は、
$\overline{A\cdot A}$
となる。
A・A=Aなので、
$\overline{A\cdot A}=\overline{A}$
である。
つまり、左上のNANDゲートは Aを反転するNOTゲート として働く。
したがって、左上の出力は、
$\overline{A}$
となる。
同様に、左下のNANDゲートの出力は、
$\overline{B}$
となる。
3.中央のNANDゲートを考える
中央のNANDゲートには、
$\overline{A}$
と
$\overline{B}$
が入力される。
したがって、中央の出力は、
$\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}$
である。
ここで、ド・モルガンの法則を使う。
$\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}$
=A+B
となる。
したがって、中央のNANDゲートの出力は、
A+B
である。
これは、OR(論理和)と同じ働きである。
4.最後のNANDゲートを考える
最後のNANDゲートにもポイントがある。
中央のNANDゲートから出力された信号が、最後のNANDゲートの2つの入力に同じように接続されている。
中央の出力をXとすると、
$\overline{X\cdot X}$
となる。
X・X=Xなので、
$\overline{X\cdot X}=\overline{X}$
である。
中央の出力は、
X=A+B
なので、最終的なYは、
$Y=\overline{A+B}$
となる。
したがって、この回路全体は NORゲート と同じ働きをしていることが分かる。
5.Yが1になる条件を確認する
今回の回路では、
$\boxed{Y=\overline{A+B}}$
である。
OR演算では、AまたはBのどちらか一方でも1になると、結果は1になる。
そのため、ORの結果が0になるのは、
A=0、かつB=0
の場合だけである。
その結果を否定するため、Yが1になるのも、
A=0、かつB=0
の場合だけとなる。
真理値表で確認すると、次のようになる。
| A | B | A+B | Y=($\overline{A+B}$) |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 1 | 1 | 0 |
つまり、
$\boxed{A=0かつB=0のときだけY=1}$
である。
6.タイミングチャートを確認する
ここまでわかれば、選択肢のタイミングチャートを確認するだけである。
AとBの波形を時間の流れに沿って確認し、AとBがともに0になっている区間だけYが1になっているものを探す。
「イ」のタイミングチャートでは、この条件を満たしている。
したがって、正解は、$\boxed{\text{イ}}$である。
7.この問題のポイント
この問題では、複雑に見える回路を最初からタイミングチャートとして追いかける必要はない。
まず、それぞれのNANDゲートを論理式に置き換えるとよい。
左上
$\overline{A\cdot A}=\overline{A}$
左下
$\overline{B\cdot B}=\overline{B}$
中央
$\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}$
=A+B
最後
$\overline{(A+B)\cdot(A+B)}=\overline{A+B}$
したがって、
$\boxed{Y=\overline{A+B}}$
となる。
これはNORゲートと同じ論理である。
覚えておきたいポイント
- NANDゲートはANDの否定である
- NANDの2入力を同じ信号にするとNOTになる
- ($\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}=A+B$) はド・モルガンの法則である
- 今回の回路全体はNORと同じ働きをする
- NORは「A=0、B=0」のときだけ出力が1になる


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